sanaritxt’s blog

思考をぽつぽつ置いておくところです。

掌編「船」(題 涙)299字

人類、数えて三度目となる愚かな大戦の終結

勝敗はない。急速な海面の上昇により戦争どころではなくなった。互いの利益よりも、種の存亡をかけ自然と向き合う

災害は国境線を消滅させた。海や多くの川を持つ国の境界が消えた。

10年後、海面が50センチ上昇。人類は残り少ない土地に身を寄せる。いくつかの政府が、荒れ狂う海流の調査の折に、戦争で沈んだ艦船を幾つも発見

モニターに映る、海底に横たわる船は、激しく揺らめく。内部から大量の水が噴出しているようだ。この不思議な現象は、温暖化以外の、急速な海面上昇の原因として取り沙汰された

より詳細な検証が必要となり、噴出する水の成分を分析した

それは、人の涙と同じ成分を示した。

掌編「私へ」

君と一緒に薬を飲んで入れ替わったこと、感謝してる
あの後、私は君の酷い境遇を克服するためあらゆることしたよ。共感じゃなくて身に染みて、ほんとうに辛い状態だった。
おかげで私は、精神的にとても成長できた。
あのあと君は私の姿で才能を発揮して。凄いよ私がスポットライト浴びてる!フォロワー数やばくない?ほんとに私なのかな笑
元に戻ろうってメッセ、嬉しかった、覚えててくれて。
だけど戻ったら、その眩しさを維持できる自信ない。
スキャンダルで苦戦してるの、誤解だってわかってる。
私も付き合ってる人いるの。あのとき私が好きだったあの人。私には振り向いてくれなかったけどね。君の姿になってから、ずっと一緒。
ありがとう。私。

短編「月光生」

「つまり、自分が永遠でなくなるのが怖いと。お変わりありませんね。最近は、こういう薬が出ていて……」
痩けた頬に最低限の化粧だけをした医師が、視線を決してこちらに向けないままディスプレイに示したのは、半月状の種子だった。
今日ようやく診察にやってきたわたしは、しばらく人と話をしていなかったので、咄嗟に声が出なかった。「はあ」と言ったつもりが、嗄れた鳴き声のような音が出た。
「ちょうど試供品があります。試してみますか」
うなずいて、マニキュアが剥げて爪の根元が白くなった、乾燥した手を差し出す。力なく掌を向けた。半月の種子が、弱々しい生命線と運命線の交錯する窪みに置かれた。
「飲んだ後は、夜だけ起きていてください。よく月の光を浴びて」
満月を眺めながら帰宅した。6畳一間のアパート。ロフトには本が詰め込まれている。窓辺に腰掛け、半分ほど残していたペットボトルの水で月の種子を飲み込んだ。
それからだ。月と会話ができるようになったのは。毎夜、唯一無二の、心から話せる友達。やがて半月となり、新月が近づくにつれ、月の声は弱っていった。それと歩を合わせるようにして、私の胸元、心臓の近くに小さな痼ができ、膨らみ始めた。日々、自覚していたのだ。次第に意識は空へ昇るようにして遠退いて、身体から引き離されているということに。

新月
再び下弦の月となるころに、私はうっすら意識と視界を取り戻した。
私は空にいた 。目を細めて地球を見下ろしていた。それは、眩しく、また暗くなり、影に日向に移り変わる。私は月だ。月の満ち欠けと同じ広さの視界を持っている。
ああ、あの海辺、あの島、あの小さな町のなかの小さな窓辺。重いカーテンが開いている。月はこうして毎夜、あの部屋を照らしたのだ。そこには、かつて私だった肉体がある。細く投げ出された脚。枯れ枝のような腕と手首。白い喉元。それは私の眼差しと等しいさらさらとした月光を受けて動かない。胸元から植物の茎が伸びていた。その先端にうす白い蕾が頭をもたげ、やにわに白い花が開き、開ききってからたわみ、散って、青い実を付けた。やがてその実も萎み、落ちて、半月状の種子が残った。
翌深夜、あの医師が検死にやって来た。種子を摘み上げ、ちいさく口を開き、わずかに舌を伸ばして乗せて、ゆっくりと飲み込んだ。そうして、すぅ、と私を見上げて微笑んだ。私は思わず話しかけた。
「先生、効きましたよ」
「やっぱり。よかった。次は、私と」
朝焼けを遠くに感じながら、私たちは眠りに落ちた。

第六回文フリ大阪に参加します

こんばんは。

今回も文フリ大阪に参加することになりました。前回、昨年の参加はごく僅かな時間でしたが、たくさんの方にお越しいただけたこと、親しくお話いただけたこと、とても嬉しく思っています。

その後も感想をいただくことができ、とても嬉しく思っています。ありがとうございます。

また、私が不在時にブースを守ってくださった、文学サークル花と魚さまに、改めて御礼申し上げます。

 

さて、今回はフルタイムの参加ですので、のんびり過ごそうと思っています。

今回ご用意したのは小説、長編含む短編再録ありの一冊、新刊『残像オフィス』です。

品切れになっておりました、短編集『平行線別離』の一部も増補再録しています。

用法 「別れの前後に服用」

 

以降、本文構成は、

1.ブース位置のご案内と頒布時間

2.書影と短編再録、長編のご説明

3.テーマのご案内

4.目次など

をいたします。よろしくお願いいたします。

 

内容をざっとご確認いただくには、4.からお読みいただければと思います。

 

1.ブース位置のご案内

場所は’A-14’ 左手奥の壁を背にしています。フロアの中心を貫く通路の近くです。

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左側ですね。

 

2.書影と短編再録、長編のご説明

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『残像オフィス』は長編のタイトルです。
サブタイトル『平行線別離』とあるのは、ご好評いただき品切れとなりました『平行線別離』から、増補改訂版として短編を再録したためです。
以前大阪で出した『平行線別離』は、2018年春に販売したバージョンとは異なります。
この「春版」で短編『給水塔の空』の量がほぼ倍増しました。
今回収録する短編は春版を改訂したものになります。

書籍販売価格は¥600です。昨年のバージョンをお持ちの方は、お見せいただくか、わかるようにお伝えください。半額でお渡しさせてください。

 

今回、長編の内容は、『平行線別離』にボーナスシナリオとして収録していた長編『残像』の導入部分を、更に続けて記したものです。

3.テーマのご案内

別れとその後をテーマとしていることは、以前と変わりありません。

再録短編

『木陰の告白』

ある語り手が、とある人物の別れ際を目にしてつい声をかけるが……その語り手とは。

『給水塔の空』

家庭の事情、学校の状況。行き場のない二人が選んだ居場所とは、そして……

『紅造花世界』

路地裏を旅するある人物がふと立ち寄った、夢と現実の狭間の世界。真実はどちらに

 以上3編は性別記載がありません。お好きに想像を当てはめてお読みください。

長編

離職長編小説『残像オフィス』

田舎から都会へ出て就職し、小さな個人事務所で働いてい弓山寿。事務所長と付き合いながらも、それを鼻にかけないように、精力的に仕事をこなしてきた。とはいえ同僚と壁を作っていたことも否定できない。このままの日常が続くはずだったが、所長が新しい恋人を作ったことで、事態は一変する。

仕事を辞めて、田舎に帰ることになった弓山は、引き継ぎと通常業務に追われ、未来も見えず疲弊する。ここで初めて、今まであまり交流のなかった同僚達との間で……

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4.目次と、おすすめポイント、感想

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今回「別れの前後に服用」ということで、人と人の関係や、人と世界の関係などについてのお話を一冊にしました。
前半の短編は、高く評価していただくこともあり、非常にありがたく思っています。

後半に収録した『残像オフィス』は、一人称で記すことで没入感を高め、読者にそのまま、主人公の五感を流し込み、読書体験が実体験であるかのように錯覚していただけるようにして記しました。

結果、いただいた感想は、「読み始めたら抜けられない」「長くて文章が詰まっているのに一気に読めてしまう」「本当にあなたが書いたのか、別の女性が書いたのではないか」など、お伝えいただくことが多々あります。

なお、長編に関しましては、ちょうどよいところで終わっていて、私はもう力尽きているのですが、続きを書くよう強く言われることがあり、そのこと、たいへんにありがたく思っております。なぜなら、あたかも主人公が実在の存在かのように、続きがあるように思っていただけているからです。

長くなりましたが、当日ブースでお待ちしております。
書籍と私は切り離してお考えいただき、内容気に入っていただければ、ほんとうになによりも嬉しいです。

第二十六回文フリ東京に参加します

こんにちは。

前回、文フリ秋では、ブースまで遊びにきてくださり、誠にありがとうございました。たくさんの方にお手にとっていただき、たいへんに嬉しく思いました。感想もありがとうございます。

わたくしが不在の時間にいらしてくださった方もおられたとのことで、すみません。ぜひお会いしたく思いました。

また、売り子さんとしてお手伝いくださった方にも、大変感謝しております。

みなさま今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、5月6日(日)開催の文フリ東京に参加します。

本文構成は、

1.ブース位置のご案内と頒布時間

2.書影と再販内容のご説明

3.テーマのご案内

4.目次など、触りのご紹介

となっております。よろしくお願いいたします。

 

内容をざっとご確認いただくには、4.からお読みいただければと思います。

 

1.ブース位置のご案内

場所は’B-36’ 1Fの右手際奥あたりにあります。奥まで行けばいる、と思ってください。

昼過ぎからの頒布を予定しております。

売り子さんの募集もしております。お知り合いの方でお時間問題ない方おられましたらご一報ください!

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2.書影と再販内容のご案内

今回頒布する書籍は昨年頒布した短編小説集「平行線別離」の「改稿・再販版」です。

文庫サイズになります。

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昨年の頒布では、「別れ」と「その後も生きていくこと」をテーマにした短編集として、大変ご好評いただきました。ありがとうございます!

 

今回改稿により、トータルで80ページとなりました。厚みが増しており、そんなに薄くない本になっています。そのぶん価格があがってしまいました……。
今回も、多くの方に頒布したく思いますが、数はあまりありません。

また、初版を大切にしてくださっている方を、とても大切に思っております。ですので初版をお持ちの方は、当ブースにお越しの際に、その旨ご遠慮なくお伝えください。嬉しくおもうとともに、本書を差額にてお渡しさせていただきたく思います。

 

また、今回も委託書籍がございます!

文フリ大阪で人気の文学サークル「花と魚」さまより「惣治郎」「ミツユメ」ぞれぞれが揃います!

東京では手に入れることのできない貴重な書籍です。この機会にぜひどうぞ。

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3.テーマのご案内

本書のテーマ「別れ」

別れもざまざまあります。人間関係や世界認識などバラエティ豊かです。わたしたちは常に繰り返されるこのことに、どのように向き合っていくのでしょうか。あるいは馴染んでいくのでしょうか。このことを、いくつかの短編小説として記しました。

ジャンルは純文学ですが、主体やテーマごとに文体を変えてありますので、意外にバラエティ豊かです。そこに現れる世界は、現実寄りであったり幻想寄りであったり、エンタメ寄りであったりするかも知れません。切ない話もあれば、不思議な話もあります。もしかしたら怖い話もあるかも知れません。苛烈な職場の実情も入れました。お好みのお話が見つかりますよう願っています。

 

また、書籍という形である意味として、購入後にお手元に置いていただけることを思い制作しました。私もこれまで、著者の姿や温もりは知らずとも、手元にその書籍があることで勇気付けられた書籍があります。

本書がそのような本として、今後どなたかのお手元に、大事にあることができるのならば幸いです。

 

4.目次とそれぞれのタイトル、内容のご案内

「目次」

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タイトルから内容を想像するのも楽しいですね。

 

「まえがきは」(第二版・初版それぞれあります)飛ばせます。

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このように。

全面的に改稿した経緯が書いてあります。また、本書のもっとも元となった300字ショートショートからの変更点、その際に考えたことなど書いた気がします。300字は楽しい企画ですね。都合があって、現在参加しておりませんが、未発表原稿はあります。

 

「文字や文章についての雑感」

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本ブログに掲載した同タイトルを、収録用に改稿してあります。初版とあまり変わらないかと思います。

 

「木陰の告白」

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「給水塔の空」

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今回、細部をひたすら書き込みました。300字ショートショートから短編への変更(初版)から、完全な短編への変更です。できるだけ、必要なことは書き込んでいく、不足している情報を補っていきました。

今回の変更は、この元になるショートショートが、「とても好きな話」とお伝えいただいたことをモチベーションに行いました。大事にしてくださった方のお心のなかにある物語を大切にするためにも、丹念に情感豊かに解凍しました。おたのしみください!

 

「消えないほくろ」

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安らぎの記憶とともに残る痛み、鎖骨の下にあるほくろ。なにごともなく過ぎていく日々と、窓にうつる仮面のような自分の表情。依存することや信じることへの心のゆらぎを記しています。不思議なお話かな……。

 

「紅造花世界」

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旅先で迷い込んだ異空間。古くから物語のテーマになりますね。現代を舞台に書き起こしています。文章量を増やすよりはすっきりと終わらせる方向がよいと思い、その形で仕上げました。ですので増加したのは1ページほどです。

「残像オフィス」

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前回予告なしにボーナスシナリオとして入れておいた、長編小説用の序章です。本書収録にあたり、「別れ」をテーマに再構成してあります。元から長編として書いているので文字が詰まっておりますが、主観のままほとんど途切れず流れる文章は視線や感覚を追体験させる要素が強いようです。そのため、全編通してですが、非常に読みやすいというお声をいただいております。

淡々と続く職場で限界を超えた状況を書きました。「ぐっときた」という感想をいただいております。今回細かい修正をしました。私が書いたとは思えない、というお声も、褒め言葉としていただいております。ありがとうございます。辛い話ですが、読むと暮らしの糧になるかも知れません。

 

今回ご紹介はここまで。

お読みいただきありがとうございました。

次回から、短編一部抜き出し試読を掲載いたします。

 

それでは、当日午後から、B-36にてお待ちしております!

もともと人が少ない純文エリアです。お気軽に遊びにきてくださいね!

第二十五回文フリ東京に参加します

みなさまこんにちは。前回の更新以来、間が空いてしまいました。すっかり寒くなりましたね。

さて、今回文フリ東京に参加します。ブース位置は1階、B-23です。

頒布書籍お品書きは新刊小説『虹色の世紀』と『平行線別離』(のこりごく僅か)です。双方とも持ち運びに手頃な大きさの文庫サイズ、通勤や休み時間、寝る前など隙間の時間にお楽しみいただけます。

せっかくですのでぜひぜひ。お気軽にお越しください!

 

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そして……今回も、文学サークル『花と魚』さまの委託ございます!

『ミツユメ』吉川いと花著

『惣治郎』リリー・スイミー

フリーペーパーもございます。ぜひお越しくださいね。

 

私の頒布は

『虹色の世紀』

『平行線別離』

『試読冊子 平行線別離/虹色の世紀』

『ポストカード #moment01』

無配 詩歌句集

『柳句歌談義 俳句版』

 おまけ 栞です。

 

頒布書籍の内容をご説明いたします。

小説既刊『平行線別離』2017春 文フリ東京初版

A6文庫サイズ ビニールカバー 表紙キラ加工少し在庫僅か

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『平行線別離』は別れをテーマにした短編集です。300文字で書いたショートショートを改稿、改定したものに加え、書き下ろしを加えています。大変ご好評いただいており、残部わずかです。収録した短編は、どれも性別を記しておらず、お好きな想像をしてお読みいただけます。

最後に、長編用原稿の第1章を短編に書き直した「残像オフィス」を収録。こちらは文字の物量がぎゅっと詰まっておりますが、読みやすいというお声をいただいたり、内容をお褒めいただいたりと、大変ありがたく思っております。ある事務所を退職直前の女性を主人公とし、登場する同性の同僚も個性的です。

 

小説新刊『虹色の世紀』2017冬 文フリ東京新刊

A6文庫サイズ ビニールカバー現地にて作業予定 表紙キラシール加工少し予定

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 直前まで出せないかと思っていた新刊『虹色の世紀』です。

「継ぐ」をテーマに、ある一人の女性とその家族、友人あるいはパートナー、それらを横断、縦断する「虹」を色鮮やかに記しました。

こちらも300文字のショートショートを下敷きにし、それを改稿、書き下ろししました。短編それぞれ、単独でもお読みいただけます。そうして、全て読んだ時にひとつの物語、一人の人の物語として読むことができるように記しました。

過去を思い返すとき、すべてではなく、細切れの場面を思い出すように、あるいは記録として写真を撮るように、そのように短編を配置してあります。

詳細はウェブカタログにあります。

 https://c.bunfree.net/p/tokyo25/9501

転載しておきますね。

収録

 ・―序― (書き下ろし/十一月十八日)
  (1989年 0歳)

 f:id:sanaritxt:20171122103630j:image・隔世 (初出十七年九月 題「渡す」より/十一月十八日改稿)
  祖母からもらった浴衣と、添えられていた手紙。それから
  (2009年-2013年 20歳~24歳)

 f:id:sanaritxt:20171122103652j:image・虹(初出十七年六月 題「色」より/十一月十八日改稿)
  モラトリアム期 二人は部屋の窓から虹を見る
  (2010年 21歳)

 f:id:sanaritxt:20171122103715j:image・まどろみのBAR(初出十七年十月 題「酒」より/十一月十八日改稿)
  再会、そして告白
  (2014年 25歳)

 f:id:sanaritxt:20171122103746j:image・抱擁(初出十七年六月 題「傘」より/十一月十八日改稿)
  これまでのこと。存在の確かさ。
  (2017年 28歳~)

f:id:sanaritxt:20171122103817j:image ・あなたの世界(初出十七年四月 題「散る」/十一月十八日改稿)
  特別であること。
  (1994年 5歳)

  ほか、まえがき、あとがき。
 (まえがきは飛ばしてください。)

本編に、年や年齢を記すのを忘れていたので、これどうするかですね……

繋がりを読み解く楽しさもあります。お楽しみいただけたら嬉しいです。

 文庫2冊ともに500円です。ちょうど、ちゃんとお楽しみいただけると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

今回も選べるしおり付き

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※画像は9月時点のもの。今回は明るい色が加わりますが、また青が多いですね……

ほか、

試読冊子『平行線別離/虹色の世紀』B5 12ページ

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それぞれより、書き出しに配置されている短編「木陰の告白」「隔世」を収録します。両編ともにご好評いただいております。(隔世はショート版の折に評価いただきました)

こちらもワンコイン、100円です。シンプルコピー本ですが、佇まい綺麗です。意外と量があります。

4部ぐらいしか用意できなかったので、品切れの場合はご容赦くださいね。

 

ほか、ポストカードの販売があります。

 

さて、無配です。

無配 詩歌句集『柳句歌談」俳句版 2ページ

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ミスって白紙2ページ付いているので4ページありますね……

たぶん2部ぐらいしかないので、お早めによろしくお願いいたします。あるいはツイッターまでご連絡ください。

 

会場の書籍の買い出しに行きたいため、ブースを留守にすることがあります。ですのでお取り置きやお越しいただけるお時間など、ツイッターでご連絡いただければ幸いです。

(不在字にメモなどで、書き置きを残していただいても大丈夫です)

 

それでは、23日、1階入って右奥のブース、B-23にてお待ちしております!

文フリ大阪ありがとうございました!

大変遅くなりました。文フリ大阪では、私のサークルブースにお越しいただき誠にありがとうございました。
イベント当日、到着が大幅に遅れたため、お待ちいただいていた方には大変ご迷惑をおかけいたしました。にも関わらずお越しいただき、とても感謝しております。また、時間の関係上、今回機会がなかった方もおられるかと思います。申し訳なく、とても残念に思っております。


平時であれば、イベント会場へは前日入りしております。ところがこの度は大型の台風により交通機関が麻痺していたため、そのようにすることができませんでした。天候によっては欠席もあり得ましたが、当日朝になり交通機関が復旧していたため、現地へ向かうことができました。そのため、到着が遅れた次第です。私が会場に入ることができたのは、15時頃、すこし過ぎていたかと思います。


結果、催事中ほとんどの時間不在にしておりましたので、今回頒布した小説『平行線別離』を欲しいと思って下さる方の中には、実際にお手に取っていただくことができない方もいらしたかと思います。申し訳ございません。
またいつか、機会があればぜひ、ご覧いただきたく思います。望んで下さる方のお手元に届くことを願っております。できることなら、大事にしていただけますよう願っております。
現在状態の良さそうな在庫がわずかに2冊ございます。次回参加予定のイベントは、文フリ東京・秋です。恐らくは持っていけます。
また、本書は大阪のカフェ『デュ・フルール』さまに少部数置いていただいております。お近くの方はご覧いただければ嬉しいです。食事の前後やティータイムに、楽しみながら試読してみてくださいね。他にも同人小説を置かれている、ゆっくりと過ごせるお店です。どうぞお気軽にお尋ねください。

さて、今回のイベント当日、私が不在の間、ブースを見守って下さったのは文学サークル「花と魚」様です。現地へ向かう間も大変心強く、きめ細やかなご対応をいただいておりました。とても感謝しております。「花と魚」様の書かれる小説は、心にしみるとても良いものです。一度手にとってお読みいただきたく思います。

当日のこと。

大阪に向かうまでの間、長距離バスに揺られながら、当ブログでイベント出展の紹介記事を書きました。そこそこの乗り物酔いを自覚して、アップロードした後に薄く長く断続的に眠りました。
大阪到着後、台風一過の空の下、気温の緩やかに上がるなか、電車の乗り継ぎを重ねながら会場へ向かいました。この移動中は主に、webカタログのチェックを行なっておりました。イベントの会場にどんな面白い本や、興味のある本があるのか、毎回このチェックはとても楽しいものです。また、今回はツイッターを見ている時間もありましたので、ご交流いただいているサークル様の、現地での状況もわかり、到着が益々楽しみになりました。

本来14時に会場入りする予定が超過し、駅の階段や道路などひたすら走りましたが、会場入りしたのは15時手前、あるいは過ぎていたかも知れないです。開場時間から参加されている方にとっては、ちょっと眠りの時間、あるいは遅い食事の時間、あるいはそろそろ撤収しようか、という時間です。一般来場者の方にとっても、帰宅して夕食、あるいはどこかで本を読み、街を楽しんでから帰るとなると、丁度良い時間かも知れません。
即売会で、長く不在にしていたブースというのは周囲に圧されるか、放置されたままで、ともすれば荒れた感じが出ます。今までイベントでそんなブースを見るにつけ、悲しい気持ちを抱くことがありました。今回、私のブースは「花と魚」様が随時見守って下さり、しん、として綺麗な状態が保たれておりました。豪華で美しい張り紙に、不在時のご案内を記していただいており、嬉しく思いました。ありがとうございました。
また、不在にしていてもブース前まで足を運んで下さるどなたかがいらしたように見受けられ、その度に、ブースに力が注がれていたのだと感じました。ありがとうございます。


設営を完了したのは16時頃だったかと思います。お越しいただいた方から見れば、私のブースは15時から1時間、常に設営中の状態だったかと思います。大変失礼いたしました。それでも喜んで頂けて、とても嬉しく思いました。今回、とても多くの方にお越しいただいたようです。大変嬉しく思っています。良い記憶としてずっと残しておきます。
と、ともに、みなさまにお越しいただいたことが、自分のことと思えず、戸惑い、驚いています。今まで私のブースにはあまり人が来ることがありませんでした。ですので、お話がきちんとできていたかどうか。お話しをお伺いできていたかどうか。大丈夫でしたでしょうか。
混み合っていてお話できない方や、試読やお買い上げいただけない方もいらしたとのことで、大変申し訳なく思います。今後気をつけて参ります。

即売会は交流の場、ということの意味が、ようやく少しわかったように思います。
「給水塔の空」が好き、という感想もいただけました。報われた瞬間です。ありがとうございます。お心にずっと、良い記憶として残る話が作れればと思います。語彙が……すみません。とても嬉しいです。
差し入れもいただきました。こちらも語彙が……とても嬉しいです。

次回以降があるとすれば、私のブースはまた、閑散としていると思います。
前回大阪に出展した際は、私はじっと本を読んでいて、人がいらしたことに気が付かない状態だったようです。
どのような状態であれ、基本温和にしていることに変わりはありませんので、今後機会がございましたら、どうぞお気軽に遊びにいらしてください。

欲しかった書籍の買い出しに関しまして、今回予定していた全てのブースを回ることができず、ご挨拶に伺う予定の方やお取り置きいただいた方をお待たせしてしまいました。撤収間際でお忙しいなか、柔軟に対応してくださり、感謝しております。お迎えいただいたことを思い返し、購入させていただいた本を、大事に読ませていただきます。
私が忙しいことを察してくださり、ブースまで書籍をお持ちくださったりと、たくさんのお心遣いをいただきました。

小説『平行線別離』の取り留めもない序文に書きましたが、私はスケジュールを組む才能が欠場しているからか、あるいは努力がたりないのだと思いますが、創作をしている時間が確保できないでおります。発想すらまとめている時間が取れず、6月頃から文芸活動をを止めようと思い始めました。
理由といたしましては、それよりも大事なものがあるから止める、ではなくて、ただ楽になりたいから、という側面もあったと思います。

今回の出展は、書くこと、創ることについて改めて自覚する場になりました。
創作活動をすることについて、あるいはしないことについて、考え方は人それぞれです。書いているからすごい、とか、書かないからだめだとか、楽をしているからいけない、とか、私はそういうことは思いません。ジャンルの上下もありません。人それぞれだと思います。
私の理想は、自分にとって何をすることが向いていて、何に楽しみを見出しているのかを知り、そして、何をすることが、自分にとっても人にとっても幸せであるのかを思いながら、実際に行動して、滞りなく実生活を続けていくことです。ですがこれらのことを、全て満たすことはできません。無理です。私は、何かを作る際にはとにかく頭を切り替えていかないと対応できず、切り替えには時間がかかり、そのための時間の捻出も難しい状態です。でも、この無理を続けることが、まだ少しはできそうだな、って、ぎりぎりのところで思っています。可能にする方法は見えています。恐らくはもっと、インプットを増やせば、そのぶん何かを作ろうとして切り替えるときに、そのきっかけとなる着想が出てきやすくなる筈です。こうして物事に取り掛かるときの、時間のロスを減らしていこうとしています。
ただし、本来は、切り替えているという意識すら不要なはずなんです。暮らしそのもの、人そのもの、自分そのものを、言語や造形の枠のなかに収めようとするときに生じる障壁を限りなく低くしていくことが理想です。

 

お越しいただき、喜んでいただけたことで、読み、書き、創るための力をいただくことができました。
イベントは毎回二度とない機会ですが、今後もご交流いただけますよう願っております。

ありがとうございました。みなさまお元気でいてください。