sanaritxt’s blog

思考をぽつぽつ置いておくところです。

2019-01-01から1年間の記事一覧

第二十九回文学フリマ東京に出店します

こんにちは 久しぶりの投稿、イベント前日の投稿になってしまいました。 11/24(日)に行われる、文学フリマ東京に参加しますのでお知らせします! 場所は、【ア-17】 入り口入ってずーっと右の壁際です!迷わないですよ。人も多くなくて空いてます 来てくださ…

微熱(講座課題:氷でつくる短編)約2,000字

ゼミで知り合い友人になった向田は、風変わりで面白い奴だ。夢を語るのが上手い。平均身長より少し小さな普通体型に黒髪黒縁眼鏡の男で、行動力も見た目の魅力もない。そしてその『語った夢』が、叶った試しもない。時に気宇壮大に、飲酒を疑うようなことを…

最初から先端を走っていたPokémon

コンテンツビジネスとテクノロジーが結び付いてから、発表会を開く企業が次々と、かつての(そして今も続く)アップル的な発表をするようになって長い。その形式はどれも似通っている。壇上に上がり、悠然とプレゼンをする。片手には製品を持ち、聴衆(という…

魔法のない暮らし(テーマ 水)

朝風呂 仕事は不首尾だ。言ったことを違える人や、我を通して捻じ曲げる人が多すぎる。人ばかりでなく自分も力がない。 風呂。 湯を貯める。唯一リラックスできる時間。普段防水のとても古いAndroidを持ち込んで、音楽を聞いている。もう、防水能力が維持さ…

掌編「人」(課題 歌)300/300文字

「お前鼻歌下手だな」 ゴミ箱の隅に不審物と通報。珍しく生身の子供を発見。追い回し、移民局に渡す。車に戻り助手席に座るとコンビの最新アンドロイド警官M7が、ハンドルを握り歌っていた 「下手」 「まあ俺は元、人間だから」 「はは、冗談は上手。その曲…

第二十八回文学フリマ東京に参加します

こんにちは。 連休最終日、5月6日に東京で行われるイベントに出店します。 本記事では、 イベント詳細 お品書きご紹介 書籍それぞれのご紹介 ほか、余談 を、記します。書籍内容のご確認を急がれる方は、記事中段までお進みください。 1.イベント詳細 イベン…

掌編 ふたたび生命となるために (題テーマ 咲く より)

ふたたび生命となるために お婆ちゃんは、井戸と東屋のある木造の平屋に住んでいる。一見雑草だらけの庭。毎日手入れに熱心だ。花の苗が植えられていて、季節ごと庭のあちこちで、色とりどりの蕾が膨らむ。生命に満ち、美しい。 この庭で、花が咲くことは決…

掌編「船」(題 涙)299字

人類、数えて三度目となる愚かな大戦の終結 勝敗はない。急速な海面の上昇により戦争どころではなくなった。互いの利益よりも、種の存亡をかけ自然と向き合う 災害は国境線を消滅させた。海や多くの川を持つ国の境界が消えた。 10年後、海面が50センチ上昇…

掌編「私へ」

君と一緒に薬を飲んで入れ替わったこと、感謝してるあの後、私は君の酷い境遇を克服するためあらゆることしたよ。共感じゃなくて身に染みて、ほんとうに辛い状態だった。おかげで私は、精神的にとても成長できた。あのあと君は私の姿で才能を発揮して。凄い…

短編「月光生」

「つまり、自分が永遠でなくなるのが怖いと。お変わりありませんね。最近は、こういう薬が出ていて……」痩けた頬に最低限の化粧だけをした医師が、視線を決してこちらに向けないままディスプレイに示したのは、半月状の種子だった。今日ようやく診察にやって…