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sanaritxt’s blog

思考をぽつぽつ置いておくところです。

無料配布ペーパーのお知らせと、お試し 短編「給水塔の空」文フリ東京C-63 「平行線別離」収録

もうすぐ文フリです。

無料配布冊子できました!お気軽にお越しくださいね!

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無配はショートショート2本収録

葉桜の公園で

「呼び名」

給水塔の上で

「給水塔の空」

給水塔の空は、本編収録短編の元バージョン。

「氷」というお題に沿って300字のショートショートを作る企画に参加したときに書いたものです。

内容がかなり異なるので、読み比べてみてくださいね。

 

「平行線別離」収録短編「給水塔の空」書き出しです。

 

 

 

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 給水塔の空(ショートショート増補 題「氷」初出一七年二月、四月)

 

 給水塔の空

 

 

 

 「じゃあ、またね」

 朽ちた給水タンクの中の、丸く切り抜かれた水面に、肩を寄せるわたしとノノの姿が映る。表情ははっきりと見えないが、二人のシルエットはすごく自然だ。

 

背景の空が霞んで、ぼんやりと春が来ている。花と土の匂いがかすかに漂って、蜂が音を立てて通り過ぎた。私たちは今まで、街の外れにある廃棄された給水タンクの上で、放課後を一緒に過ごしていた。

最初から示し合わせてここにいるのではなかった。家に帰りたくなくてここへ来ると既にどちらかがいて、それをお互いに繰り返すうちに一緒に過ごすことになった。最初はどちらがこの場所を先に取るかでけん制し合っていたのだけれど、どうしても帰りたくない日に来てみたら、先に来ていたノノが上で寝ていたので私は仕方なく周りをうろうろしているしかなくて、

「いいよ、おいでよ」

と言われて、梯子を昇り、手を貸してもらって、私たちは急速に仲良くなった。

 

田舎住まいで学校の周りは山か森しかなかったから、家だけではなく学校にもあまり馴染めない私たちが居られる場所はここしかなかった。家と学校以外のどこにいても、必ず服が汚れてしまう。侵入するときに周りを囲んでいる錆びてあちこち鋭い柵にさえ気を付ければ、綺麗なままばれないで過ごすことができる。私たちは繰り返すたびに身のこなしが器用になっていった。

 

つづく