sanaritxt’s blog

思考をぽつぽつ置いておくところです。

第二十九回文学フリマ東京に出店します

こんにちは 久しぶりの投稿、イベント前日の投稿になってしまいました。 11/24(日)に行われる、文学フリマ東京に参加しますのでお知らせします! 場所は、【ア-17】 入り口入ってずーっと右の壁際です!迷わないですよ。人も多くなくて空いてます 来てくださ…

微熱(講座課題:氷でつくる短編)約2,000字

ゼミで知り合い友人になった向田は、風変わりで面白い奴だ。夢を語るのが上手い。平均身長より少し小さな普通体型に黒髪黒縁眼鏡の男で、行動力も見た目の魅力もない。そしてその『語った夢』が、叶った試しもない。時に気宇壮大に、飲酒を疑うようなことを…

最初から先端を走っていたPokémon

コンテンツビジネスとテクノロジーが結び付いてから、発表会を開く企業が次々と、かつての(そして今も続く)アップル的な発表をするようになって長い。その形式はどれも似通っている。壇上に上がり、悠然とプレゼンをする。片手には製品を持ち、聴衆(という…

魔法のない暮らし(テーマ 水)

朝風呂 仕事は不首尾だ。言ったことを違える人や、我を通して捻じ曲げる人が多すぎる。人ばかりでなく自分も力がない。 風呂。 湯を貯める。唯一リラックスできる時間。普段防水のとても古いAndroidを持ち込んで、音楽を聞いている。もう、防水能力が維持さ…

掌編「人」(課題 歌)300/300文字

「お前鼻歌下手だな」 ゴミ箱の隅に不審物と通報。珍しく生身の子供を発見。追い回し、移民局に渡す。車に戻り助手席に座るとコンビの最新アンドロイド警官M7が、ハンドルを握り歌っていた 「下手」 「まあ俺は元、人間だから」 「はは、冗談は上手。その曲…

第二十八回文学フリマ東京に参加します

こんにちは。 連休最終日、5月6日に東京で行われるイベントに出店します。 本記事では、 イベント詳細 お品書きご紹介 書籍それぞれのご紹介 ほか、余談 を、記します。書籍内容のご確認を急がれる方は、記事中段までお進みください。 1.イベント詳細 イベン…

掌編 ふたたび生命となるために (題テーマ 咲く より)

ふたたび生命となるために お婆ちゃんは、井戸と東屋のある木造の平屋に住んでいる。一見雑草だらけの庭。毎日手入れに熱心だ。花の苗が植えられていて、季節ごと庭のあちこちで、色とりどりの蕾が膨らむ。生命に満ち、美しい。 この庭で、花が咲くことは決…

掌編「船」(題 涙)299字

人類、数えて三度目となる愚かな大戦の終結 勝敗はない。急速な海面の上昇により戦争どころではなくなった。互いの利益よりも、種の存亡をかけ自然と向き合う 災害は国境線を消滅させた。海や多くの川を持つ国の境界が消えた。 10年後、海面が50センチ上昇…

掌編「私へ」

君と一緒に薬を飲んで入れ替わったこと、感謝してるあの後、私は君の酷い境遇を克服するためあらゆることしたよ。共感じゃなくて身に染みて、ほんとうに辛い状態だった。おかげで私は、精神的にとても成長できた。あのあと君は私の姿で才能を発揮して。凄い…

短編「月光生」

「つまり、自分が永遠でなくなるのが怖いと。お変わりありませんね。最近は、こういう薬が出ていて……」痩けた頬に最低限の化粧だけをした医師が、視線を決してこちらに向けないままディスプレイに示したのは、半月状の種子だった。今日ようやく診察にやって…

第六回文フリ大阪に参加します

こんばんは。 今回も文フリ大阪に参加することになりました。前回、昨年の参加はごく僅かな時間でしたが、たくさんの方にお越しいただけたこと、親しくお話いただけたこと、とても嬉しく思っています。 その後も感想をいただくことができ、とても嬉しく思っ…

第二十六回文フリ東京に参加します

こんにちは。 前回、文フリ秋では、ブースまで遊びにきてくださり、誠にありがとうございました。たくさんの方にお手にとっていただき、たいへんに嬉しく思いました。感想もありがとうございます。 わたくしが不在の時間にいらしてくださった方もおられたと…

第二十五回文フリ東京に参加します

みなさまこんにちは。前回の更新以来、間が空いてしまいました。すっかり寒くなりましたね。 さて、今回文フリ東京に参加します。ブース位置は1階、B-23です。 頒布書籍お品書きは新刊小説『虹色の世紀』と『平行線別離』(のこりごく僅か)です。双方とも持…

文フリ大阪ありがとうございました!

大変遅くなりました。文フリ大阪では、私のサークルブースにお越しいただき誠にありがとうございました。イベント当日、到着が大幅に遅れたため、お待ちいただいていた方には大変ご迷惑をおかけいたしました。にも関わらずお越しいただき、とても感謝してお…

短編 「午前三時半 BAR地下一階」 題「酒」

「あなたなしでは、いられない?…なんて。古い歌だっけ。あったよね。確か。ねえ、ね。聞いてる?ジンライム美味しいよ。香りと、熱さね。喉に滲みるのがいいよね。胸が焦げて身震いするよ。これ、何かに似てる。うーん…。あ、酔ってて聞いてないでしょ。も…

文フリ大阪に参加します

ブログアップするのが当日になってしまいましたが、文フリ大阪に参加します。みなさま遊びにきてください! お品書きは、春東京で頒布した 「別れ」をテーマにした連作短編小説『平行線別離』に付録本、『掌編小説集300字』が付きます。 『掌編小説集』は、…

言語結晶

人にあまり興味がないせいか、自分も人から覚えられたり認識されると思っていない。相手のこともろくに覚えていないし、相手もこちらをすぐに忘れる。最初からこうではなかった。軽薄に誰かを強く強く信じたし、予想外に裏切ってしまったこともある。自分が…

300字短編「隔世」(題材 渡す)

すずみさんへ私が女学生の時分、お祭りへ行くときに、かあ様がこの浴衣をこしらへてくださいました。今のすずみさんの方が背高だとおもひますけれども、きつと似合ひます。おばあちゃん 寮に送られてきた浴衣に手紙が添えてあった。祖母の手書きの文章を見る…

300字短編「抱擁」題 かさ

「かさ」を題材に300字以内 抱擁 まだ雨は降らないらしい。面会時間内にお見舞いに行った。病室を囲うビニールから顔を出すと跳ねるように喜んでくれた。ずいぶん小さくなった、と思ったけれど、言わなかった。去年の春に、二人でオルガン通りに行ったことを…

文フリ東京ありがとうございました!

遅くなりました。イベントに参加して来たのでご報告いたします。 今回私のブースにお越しいただきありがとうございました! 気にかけて下さった方や、ブース運営にご協力下さった方にも御礼申し上げます。 委託本もあって、ブースはとても賑やかでした。 開…

300字短編 「虹」 (テーマ:色)

ツイッター300ショートショート企画に参加します。 https://mobile.twitter.com/Tw300ss/status/860826497883308033 虹 ぱらぱらとした音が止み、少しだけ窓を開けると強く雨の匂いがした。「虹、」すぐ近く、背後で眠っているはずなのに声がしたので見ると…

無料配布ペーパーのお知らせと、お試し 短編「給水塔の空」文フリ東京C-63 「平行線別離」収録

もうすぐ文フリです。 無料配布冊子できました!お気軽にお越しくださいね! 無配はショートショート2本収録 葉桜の公園で 「呼び名」 給水塔の上で 「給水塔の空」 給水塔の空は、本編収録短編の元バージョン。 「氷」というお題に沿って300字のショー…

お試し 短編集「平行線別離」より短編「木陰の告白」1/4 文フリ東京C-63 #平行線別離

本記事最後に、「平行線別離」の概要をご説明した前回の記事へのリンクがあります。 「平行線別離」#平行線別離 より、 試し読み短編 木陰の告白(短編 未発表「花」二〇一七年四月二十七日) 木陰の告白 「お久しぶりです。何年振りでしょうか。

文フリ東京に参加します1階C−63 「別れ」と越境がテーマの短編集「平行線別離」#平行線別離

はじめまして。あるいはお久しぶりです。お元気ですか。 無事に新刊ができあがり、ようやく文フリ東京に参加できそうです。 「別れ」をテーマにした新作短編集『平行線別離』(文庫版56ページ)500円です。ワンコイン。 印刷が上手くいっていたらいいな。 こ…

300字短編「呼び名」(オリジナル)

お題に沿って300字のショートショートを記す企画に参加します。 今回のテーマは「散る・散らされる」です。 どうぞよろしくお願いいたします。 今夜21時開催です。第三十一回のお題は「散る」です。桜、水、光、様々なものが「散る・散らされる」光景を作品…

お試し「坂崖村地域侵攻録」第一章「残像」段三 途中まで

続き 「焚き火トマト、って名前のお店があるんですよ。知ってます?」 小西さんは早足で歩きながら、駅へ向かう石畳状に舗装された街路を進む。それに続いて私と菱田さんが並んで歩く。不思議なお店の名前だ。初めて聞いた。私たちは夜の街を泳ぐように、前…

300字短編「消せないほくろ」(オリジナル)

今回も「Tw300字SS」さま(@Tw300ss)の短編ショートショート掲載企画に参加します。 第三十回のお題は「飾る」です。場所、人、物、心、言葉等、「飾る・飾られる」光景を作品にして下さい。詳しい概要→ https://t.co/GtCHTLOpLL に沿って3/4日21時~24時に …

ストーリーが特に何もない本がよくわからないと言われること

こんにちは。 前掲の試読小説が段々形になって来ています。 代わりに分量が増えているので、一息に読み切れるものでなくなりつつあります。 また、更新を重ねるうちに構成が変わり、話の流れに変化があるところもあれば、本の記述そのままのところもあるので…

同じ月の模様を見ているか

集まった子供達を大人があやす。 満月の描かれた絵本を開いて掲げ、それを正面から右の子供へ、左の子どもへ、ちゃんと見えるようにゆっくりと振りながら噛んで聞かせるように言う。 「お月様には、うさぎさんがいるんです!」 「わー」 いるんだ!その子供…

俳句と300字短編「給水塔の空」(オリジナル)

「Tw300字SS」さま(@Tw300ss)の短編ショートショート掲載企画に参加します。 先行して、ツイッター俳句企画 「せつない句会」さま(@setsunaikukai) へ投句した俳句があります。 その際の様子はこちら(ツイートへのリンクです) https://twitter.com/set…